小説についても書いてみたくなったので、ワイのお気に入りの一冊の書評をしてみようと思います。
その前にこのブログの今後の運営方針について話しておかなくてはなりません。
初めは総合的なブログを目指し、ワイの好きな暗号通貨やIT技術に関するワイなりの解説や、ワイの学習記事をここに書いて行こうと考えていました。
所が、雑居型のブログに連載前提かつ日記ではない技術解説や、学習ノートをうまく共有する事がワイには難しく変なところで悩む結果になってしまいました。
そんなこんなで、このブログを潰してしまうことも考えましたが勿体ないのでこのブログは、書籍や映画の感想などの一般的な内容を投稿する普通のブログとしてリブートをする事にします。
学習記事は、制作中の独自サイトに移植作業を行う予定です。
以上
さてさて、初の小説の書評は小川洋子先生の「薬指の標本」を選ばせていただきました。
ちょっとワイのキャラには合わない感じの柔らかく幻想的な小説ですが、不思議な魅力にとりつかれて何故か何度も読んでしまう。
そもそも、何でこの本を買ったのかは全く覚えていません。
今自分の本棚を見ても文学作品は数えるほどです。
2004年に本屋大賞をとっているようですが、そういう文脈で本を買う事は滅多にないんです。
博士の愛した数式が話題になった流れでもなかったと思います。
うーん不思議です。
しかし、そういう謎の文脈で買った本の方がより気に入る事が多いのは不思議です。
小川洋子先生と言えば2003年に出版され記録的ヒットとなった後に映画化された「博士の愛した数式」を思い浮かべる方が多いと思いますが、本書はもう少し前の1994年の作品です。
ワイの個人的な感想としては、小川先生の作品は短編の方が読みやすいと感じます。
因みに、先生は短編小説の「妊娠カレンダー」という作品で、芥川賞をとられております。
本作品「薬指の標本」もフランスで映画化をされ、日本の劇場でも放映されました。
小説のもつフランス映画っぽい空気とフランス人女性監督の感性が完璧にマッチし、素晴らしい映画でした。(DVDも買いました)
しかし、個人的には日本の光の下で日本の監督によって制作をされた、もう少し東洋的でコントラストの低い世界観での映画化作品も観てみたい気もします。
というのも、ワイが小川先生の作品を読むときに頭に思い浮かべる映像は画面全体が明るい情景だからです。
さて、ほんの少しだけお話しの世界にふれてみましょう。
主人公は若い女性です。
彼女は人々の思い出の品々を標本化する不思議な標本室の言わば事務員です。
この標本室がある建物には、主人公の私と経営者件弟子丸氏と、この建物が女子寮であった時からの賃借人である老婦人二人のみ。
この標本室で標本化するのは、学術的な資料などではなく「恋人から贈られた音楽」や「少女の火傷の跡」などの人々の忘れ難い思い出達です。
そしてその標本はこの標本室から持ち出す事はできません…
ある日私は、弟子丸氏から靴をプレゼントされます。そして…
どうでしょう興味を持っていただけましたか?
私達人間は誰でも生きていると忘れる事はできないけれども、どこかに置いておきたい思い出があります。
持ち出せない標本はそういう思い出のメタファでしょうか。
こんな標本室があれば、一度利用をしたいです。
小説は文字の芸術です。
この本は「六角形の小部屋」というお話しとセットで、税別362円と恐るべき安さ。
ぜひ一度手にとって頂けましたら幸いです。
あら、いつもより畏った文章になってもたw