コーヒーハウスハードボイルドオクトパス

暗号通貨やパソコン,電気,カメラ,写真,素人経済社会学などをテーマに記事を書きたいと思います.

「パソコン創世第3の神話」の書評と読書感想

ブログを立ち上げてからいくつかの題材をあたためているが.もっとも書き手として敷居が低そうな一般書の書評から初めてみようと思う.

今回の一冊は「パソコン創世第3の神話」だ.

こちらの本は数年前に入手をして,通して読んだのは入手時と今から1年程前の2回だと記憶している.

読みたてホヤホヤの本ではなくてアマゾンに新品の在庫はなく,おそらく既に廃盤であろうこの本を何故紹介しようと思ったのか?

それはこのパソコンの「創世」時の時代感と現在の暗号通貨の時代感が一定の範囲で似ていると感じるからだ.

時代と言っても,副題にカウンターカルチャー と入っている事から分かる通り,60年代の話である.

60年代と言えばアメリカの若者達は勿論,パリ5月危機,東大安田講堂事件など反体制的な熱気のなかで何かと戦っていた時代だ.残念ながら現在は,全てが逆に進み言葉は軽く人間という存在は切り捨てられスカスカの非暴力思想が蔓延していると感じる.

話がワイのアルテメット持論の方向にそれそうだが,とにかく時代背景が全然違うのだ.

そのような全く現在とは異なる文脈の中で,この時代とビットコインを結びつけるなと言う批判も聞く.それはもっともだが無下には出来ないとワイは思う.

この辺りで暗号通貨と60年代西海岸の対抗文化との関わりについて書きたい所ではあるが,このままでは書評所ではなくなるので本題の書評に移ろう.(いつかかきます)



この本は既に書いた通り,60年代のパロアルト周辺のどの様な人々がどの様な空気感の中でパーソナルコンピュータや周辺システムを開発したかが書かれた本だ.

登場人物はホールアースカタログの発行で有名なスチュアート・ブラントやハイパーテキストのテッド・ネルソン,アラン・ケイ...等のレジェンド達に加え無名のマニアや功労者も多少は登場する.

この本を読むと雑誌ホールアースカタログから始まってパーソナルコンピュータ,インターネット,SNSまでの流れが突然最近になって急速進んで出てきたものではない事が分かるだろう.

単純なパソコンの開発秘話や思想の話だけではなく,ハーマンミラー社によるOA家具の開発といった細かなエピソードまで書かれており,当時非常に真面目にパーソナルコンピュータをベースとした社会の実装の為の研究が行われていたかが分かる.

中にはLSDを使って研究者の知性を拡張する実験等今では考えられない研究も行われていたようで中々面白いのだが,流石に問題が起こり中止になった...

そもそも,パーソナルコンピュータはパーソナルなのである.それらを繋いだインターネットはその誕生からして分散システムなのだ.本書はそんな当たり前の事を思い出させてくれる素晴らしい一冊だとワイは考えるのだ.

 正直な所この入手が面倒になった本は,読んで初めて空気感分かるタイプの本であり,これ以上内容に踏み込む勇気はない.是非実際に読んで,60年代西海岸の対抗文化とハッカー文化の交差点から溢れ出す熱情を是非とも感じて欲しい.

 

そうとは言ってもディスコンだしなぁ...(今現在のAmazonの中古価格は流石に...)と言うか,NTT出版さん再販お願いします!

最後にブラント氏と当時のカルチャーに敬意を示し,ホールアースカタログ最終号の有名なラストメッセージ を書いてこの記事を終わらせたい.

Stay hungry, stay foolish!


P.S

読みにくくてすみませんw

マークアップCSSはそのうち修正しまふ.